個人的に思い入れの強いお酒となります。今は亡き恩師の置き土産でもある「五割麹」、厳しい先生でしたが今になれば感謝しかありません。
駆け出しの頃は酒造りのことに関して右も左も分からず、ただただ必死で思いが空回りしてうまくいかないことだらけでした。「五割麹」を通して沢山勉強させてもらいました。あの頃と今では環境も造り手も変わり今は夫婦二人での「五割麹」です。もし、少しでも飲んで頂いたお客様にプラスの感情を感じて頂くことができたなら私達造り手としてこの上なく幸せです。
杜氏が蔵に戻った2003年ごろ、日本酒はいわゆる新潟を代表とする「端麗辛口」酒ブーム。
「上善如水」という名前のお酒が人気でまさに「水の様なすっきりとした綺麗なお酒」が求められており、合わせるお料理も和食や魚などが中心でした。
蔵のある中野市は畜産が盛んな地域でしたので「もっと地元の食材やお料理に合うお酒ができたらなあ、中でも信州牛のすき焼きに合わせてみたい!」と兼ねてから杜氏は考えており、恩師に相談し2006年から「五割麹」製法をスタートさせました。
業界としては確率した仕込み配合では無かった為、一から手探りでの挑戦です。何度も仕込みを重ねようやく兆しが見えはじめたのは2012年、開始から6年も経過しておりました・・。その後も改良に改良を重ね、前回よりももっと良い品質を追い求めてきました。
発売当初、このお酒は「岩清水黄色ラベル」と名付けられ、まさに黄色のラベルに「岩清水」と書いてあるシンプルなものでした。 今のラベルは2017年よりリニューアルし、名称も「Origineオリジン」と変更致しました。
実は2017年から仕込み水を硬水から軟水に変更した為味わいも繊細なものとなり今までの「黄色ラベル」とは別物でした。味わいも違うのでラベルも変更してまったく新しい商品として販売することも考えました。
しかしながらこのお酒だけは杜氏がただ一人で2006年からコツコツと品質をあげてきたお酒です。そしてこの「岩清水」の文字は杜氏が高校時代所属していた卓球部の顧問で書道の先生をされていた山崎先生が書いてくれた思い入れあるもの。
ラベルと名前をリニューアルする形で販売に至りました。
※ Origineの次回醸造は2026年を予定しております。
株式会社井賀屋酒造場 小古井宗一
「Origine」は4種類ありそれぞれの特徴を元にネーミングしました。
『袋吊り』
搾りの際に醪(もろみ)を袋に詰めた状態で吊るし、圧力を掛けずに自重で滴るお酒。優しい口当たりと後味の綺麗さが特徴。
『Souplesse』(スープレス)オリがらみの部分
フランス語で「しなやか・柔らかさ・柔軟性」を意味し、柔らかな口当たり、そして熟成させることで変化も大きいことから命名。
『Harmonie』(アルモニー)クリアな部分 酒販店と蔵(蔵では完売)
フランス語で「調和」を意味し、バランス感が優れている事から命名。
『Corse』(コルセ)
フランス語で「しっかりとしたコクのある」を意味し、ワイン用語としても使われるがそれとは少しニュアンスが違うが4種の中で一番圧力をかけて搾る為しっかりとした味わいで究極の中取り部分。
おススメの飲み方:冷やして白ワイングラスでお召し上がりいただければよりリッチな味わい♪
杜氏としては、60℃弱の燗酒もオススメです!
600kgのうち300kgを麹にします。岩清水は麹室(こうじむろ:麹をつくる部屋)が小さい為、一度に仕込む量はMAX90kg。300kgにする為4回麹をつくります。
一般的には麹ができるまでは洗米してから完成するまでおおよそ3日間ですが、岩清水では14日間かけて仕上げます。
一般的な仕込み | 岩清水 Origine 2024の仕込み | |
麹つくり | 14日 | 56日(14日 x 4) |
酒母 | 14日 | 19日 |
醗酵 | 20日 | 72日 |
上槽(搾り) | 2日 | 14日 |
合計日数 | 50日 | 161日 |
麹割合 | 5割 |
アルコール分(原酒) | 12% (2024) |
搾り日 | 2024年1月 |
内容量 | 720ml |
おすすめのグラス | ワイングラス |
相性のよかったお料理(参考例) | すき焼き、回鍋肉、角煮、からあげ、鰯、サバの刺身、キャロットラぺ、カルボナーラリゾット、オムレツ(調味料としては「からし」と相性が良いようです) |
ビンテージ | 2024 |
■ 甲信越